上田市は四方を山で囲まれている『盆地』です。
のどかな山間を流れる千曲川・・・
季節が奏でる風景は、殺伐とした日々に
追われる私達の心を優しく癒してくれます。
上田市はそんな『癒し』を兼ね備えた薬箱のような町・・・
そして、近代的な建物と、城下町らしく100年以上もの歴史を物語る建造物が調和した不思議な町でもあります。
そんな上田市を舞台に2016年に人気俳優の遠藤憲一さんを主演に撮影された
『うさぎ追いし』は上田市出身の癌研究の先駆者である山極勝三郎博士の生涯を描いた作品です。
監督は、『ふみ子の海』や『エクレール お菓子放浪記』の
近藤明男監督。
プロデューサーは上田出身の永井正夫氏。
『のぼうの城』『スパイ・ゾルゲ』などを手掛けています。
城内散策で『うさぎ追いし』の山極博士に会う?!
上田城の散歩道の途中に山極勝三郎博士のブロンズ像があります。
上田市が誇る幻のノーベル賞博士。
★ノーベル賞の名誉より、万民の幸せを願い癌研究に生涯をささげた山極勝三郎博士を
沢山の人達に知ってほしいという願いのものと、『うさぎ追いし』は上田市の有志のバックアップで制作された作品です。
出演陣が遠藤憲一さんを始め、奥様役に水野真紀さんほか、豊原功補さんや北小路欣也さんとベテラン俳優が勢揃いで脇を固めた実に重厚な作品と言えます。
この作品は現在、『自主上映会』という非常に珍しい上映形態を取っています。
『自主上映会』というのは、個人をはじめ、企業や学校法人などの団体、自治会が
上映主催者となり、上映会場を決めて、上映を告知し貸し出された上映素材で上映会をするシステムです。
とはいっても、素晴らしい作品なので、是非、沢山の方に見ていただきたいものです。
金曜ロードショーなどで放映してもらえるとうれしいのですが、今の所予定はないようで・・・残念です。
現在DVDの販売はされていますが、レンタル化はされていないようです。
別所線の黄金時代をたずねる
『うさぎ追いし』のプロデュースを手掛けた永井正夫氏は
上田出身です。
上田市は全国広と言えど、建造物をはじめさまざまな物の新旧が見事に一体化した、
希少な町並みが自慢でもあり、盆地だからこその気候が生み出す青空は特に素晴らしいと自負されています。
上田城を中心とした城下町。
昭和の時代・・・
別所線は上田市の交通の要でした。
真田町・丸子町・青木村と縦横無尽に鉄路がはられ、海野町の交差点付近や上田城近郊の
花園病院付近にも別所線が走っていました。
街の中を電車が走っていたのです。
今となっては廃線にしてしまったことが悔やまれますが・・・
自動車の普及とともに事故や渋滞が懸念され、利用者も減っていたことから距離にして57㌔ほどあった鉄路も、今や、上田駅から、別所線を走るわずか11㌔ほどの鉄路になって
しまいました。
時代の流れに巻かれ、今や、常時廃線がささやかれるようになった別所線・・・・
存続するために右往左往しながら今日でも走っています。
過ぎ去ってしまった日々は取り戻せませんが、街の中に縦横無尽に張り巡らされていた鉄路だけでも残しておくことができたらなら・・・・
別所線は上田の大きな観光資源になりえたのかもしれないといま思うと、とても残念です。
そんな別所線。
上田城のお城の下にも走っていた名残があります。
今では、桜のシーズンになるとみごとな桜並木を披露してくれます。
毎年4月恒例『千本桜祭り』にはライトアップされる上田城跡。
大好きな人と鉄路跡の満開の桜並木を歩くとなんとも満ち足りた幸せな気分を味わえます。
別所線の黄金時代を物語る鉄路跡をたずねてみるのもノスタルジックタウン上田を感じることができます。
別名・犬神通りも?上田は犬神家ゆかりの地?
2018年に平成最後の『犬神家の一族』として賀来賢人と加藤シゲアキ出演で放映され話題となった金田一耕助シリーズで最も有名な作品。
『犬神家の一族』
実は、上田にとてもゆかりがある作品です。
金田一耕助探偵シリーズは横溝正史が描くサスペンスですが、事件の展開が実に因縁めいたものが多く、また、殺害方法などがグロテスクなものが多いため、社会情勢もあるのか、昨今ではあまり姿を見かけなくなりました。
レンタルショップでは取り扱いがありますが・・・
そんな金田一耕助探偵シリーズによく登場したのが上田市の柳町と常田の旧北国街道です。
はかま姿にぼさぼさな髪の毛を隠すように帽子をかぶってさっそうと闊歩する金田一耕助の姿は、この両者で撮影されています。
旧北国街道は金田一耕助が活躍した昭和初期の町並みをみごとに再現しています。
他に上田市上常田にある大正6年に建てられた上田蚕種協業組合事務棟も『犬神家の一族』では『那須警察署』としてその一部をロケ地に提供しています。
他に上田市ではありませんが、信州の各地で『犬神家の一族』はロケが敢行されています。
『犬神家の一族』の象徴ともいえる殺人現場は湖から突き出た2本の足という、非常に猟奇的なシーンではないでしょうか。
とても不気味な演出をされていますが、ロケ地として使われた木崎湖や青木湖、
実際の両湖は、透明度も高く周囲の森木立が青空と共に映り込むさまは神秘的です。
季節によっていろいろな風景を演出してくれます。
是非足を運んでみてください。
自然が奏でる芸術に感動すること間違いなしです。
もう1つ『犬神家の一族』の聖地として有名なのが金田一耕助が宿泊している
『那須ホテル』
こちらは、佐久市望月の『井出屋旅館』実に42年前の作品に引き続き平成版でもロケ地として使われました。
こちらの旅館は42年前の横溝正史シリーズファンの聖地としていまだに何度もその趣が気に入り利用するリピーターが絶えない老舗旅館です。
旅館の亭主によると、玄関先のドアを自動ドアにしようとしたところ、自動ドアにしないでくれとの声が相次ぎ、旅館はあえて昔の面影を残したままなのだとか・・・・
平成版をみた新たなファンが訪れているようです。
ロケ地巡りで腹ごしらえするなら…鯉料理はいかが?
上田市内から、佐久界隈まで、ロケ地巡りをしてお腹がすいたら・・・・
是非、佐久で食していただきたいのが、『鯉料理』です。ぷりぷりの鯉のアライから、鯉こく、鯉のうま煮etc・・・佐久は『佐久鯉』の産地!
佐久ならではの『鯉料理』に出会う事ができます。
中込駅前の『三河屋』はいかがでしょう。
さまざまな鯉料理が実にリーズナブルなお値段で楽しむことができます。
鯉ははじめて・・・とかあまり鯉料理に詳しくない人は是非ご来店前に電話を入れて
『予約』をしてみてください。
『鯉料理』の相談にも応じてもらえます。
アクセス
佐久市中込1-21-4
JR小海線中込駅前
上越自動車道 佐久ICより15分
TEL=0267-62-0037
まとめ
『うさぎ追いし』『犬神家の一族』と両作品に共通するのは
古き時代を今の町並みで再現した作品であるという事・・・・
両者ともセピア色がよく似合いそうな作品です。
セピア色のロケ地。
街も活きています。時代と共にその色や形を変えて私達の周りに存在しています。
そんな時代の流れに取り残されたようにぽつん ぽつんと点在するセピア色の町並み。
建物、風景、跡地・・・・
忙しく過ぎ去る時間の中に身を投じ、ストレスをたくさん抱えざる得ない日々にの中で
一瞬でもセピア色の風景に身を置いて、ホッとするつかの間の時間。
贅沢な時間かもしれないですが、たまにはそんなご褒美的な時間を持って
頑張っている自分を労わってあげてもよいのではないでしょうか。