信州温泉

島崎藤村ゆかりの宿「中棚荘」でりんご風呂を堪能!

信州の老舗旅館「中棚荘」「夜明け前」で有名な文豪・島崎藤村と深い縁のある旅館です。

島崎藤村

作品は読んだことがない人でも名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

島崎藤村は明治32年より足かけ7年ほどを小諸で英語と国語の教師として小諸義塾に赴任しています。

そんな島崎藤村と親交が深かったのが、小諸義塾で塾長をしていた木村熊二でした。

彼は、アメリカで医学を学んでおり、中棚付近の湧水を使うと傷の治りが早いことに注目しました。

木村熊二の強力なバックアップのもと明治31年に中棚荘の前身である中棚鉱泉が開通しました。

島崎藤村は小諸に滞在した7年間中棚荘にあしげく通っています。

『落梅集』の『千曲川旅情の歌』でも、

「千曲川いざよふ波の 岸近き宿にのぼりつ 濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む」

と謳っていますが、「岸近き宿」とはまさに中棚荘のことです。

歴史を感じる中棚荘ロビー

中棚荘のロビーには、古書の本棚があります。

文学好きなお客様のために喫茶コーナーも隣接して設置。

冬は大きな窓から差し込む陽だまりの中でコーヒーカップを傾けながらじっくりと文学を堪能することができます。

このロービーでかつて島崎藤村もティーカップを片手に文学書を熟読したのでしょうか。

はたまた、部屋を書斎代わりに作品を書き綴ったのでしょうか。

歴史の流れを感じるレトロなたたずまい。

ゆったりと時間の流れがそこだけ違っているような異空間へいざなわれたような不思議な感覚を覚える宿です。

「初恋」をイメージしたりんご風呂

10月から5月に向けて、中棚荘では湯舟にりんごが沢山浮かんでいます。

島崎藤村の「若菜集」

「まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけり」

という「初恋」というタイトルの作品をモチーフにしたもの。

明治29年。

当時の日本文化は、まだまだ、自由な恋愛を許さない風潮が強い中、自由な恋愛を語った島崎藤村の「初恋」は非常に斬新なものとして世間の注目を浴びた作品です。

信州は、りんごの名産地でもあり、お風呂に浮かぶあまずっぱいりんごの香りはまさしく、初恋のイメージにピッタリといえます。

毎年、この時期に合わせて県内外からお客様が訪れています。

恋愛成就を願うカップル客も多いのだとか…

コロナが落ち着きを見せている昨今、やっと、週末など人の入りが戻ってきたと宿のスタッフが話してくれました。

日帰り温泉もゆったり楽しめます!

りんご風呂が始まった10月中旬。

2歳の孫と娘の3人で日帰り温泉を楽しんできました。

こちらの温泉の入館料は1000円。

ならば、中棚荘自慢のおいしいお料理に舌鼓をし、

ついでに食後は孫とお昼寝でも出来たら…と日帰り温泉のコースを予約しました。

目にも美しく、繊細な旬の味覚が並びます。

信州サーモンの昆布締めをはじめ、写真のような色鮮やかな和風料理。

 

宿の中にある栗の木で採れた栗を使った釜土炊き「栗ご飯」

栗の優しい甘味が地元で採れたお米の味を引き立てていました。

料理長のこだわりぶりを感じる繊細な料理でした。

日帰り温泉は11:00~15:00

個室、お昼、お風呂付で4400円からです。

食事は別館の「大正館」です。

最初に通していただいたお部屋が少し孫のお昼寝には手狭だと相談したところ

快く少し広めのお部屋を提供してくださいました。

お風呂は11時半から14時まで。

まずは、お風呂に・・・・

りんごが沢山浮かんだお風呂に2歳の孫は大興奮。

大喜びでりんごと戯れていました。

ただ、旅館から、結構長い階段を上りますので、足の不自由な方には少々無理があるかもしれません。

足腰が丈夫な方専用のお風呂といえます。

足腰に自信のない方は、残念ですが、中棚荘のお風呂は入浴困難かもしれませんので中棚荘にお風呂を目的で訪れる方は、お出かけ前に宿に電話を1本入れてご相談ください。

また、中棚荘のお風呂の脱衣所はお風呂続きの畳敷き。

「大名風呂」を連想させるつくりとなっているんですって!!

確かに、中棚荘のお風呂に初めて来た人は、あまりにも斬新な脱衣所にびっくりします。

お風呂から上がり、13時頃にお願いしてあったお昼。

孫も取り分けでしっかりご飯を頂き、親子と婆ちゃんで川の字で昼寝。

時間もゆったり、癒しのひと時を過ごさせていただきました。

2歳の孫はかなり「りんご風呂」がお気に召したのか、いまだに、どこのお風呂に行く?

と尋ねると「りんごのお風呂!」と答えています。

来年の5月までりんごは浮いているのでまた、連れて行ってあげたいと思っています。

中棚荘アクセス

住所:長野県小諸市乙1210

TEL: 0267-22-1511

★高速道路・長野道小諸インターを下りて 小諸懐古園方面へ 10分

●新幹線を利用した場合

東京方面からは佐久駅でしなの鉄道に乗り換え。

長野方面からは上田駅でしなの鉄道に乗り換え

★JR小諸駅下車⇒徒歩20分・タクシー5分